過日、帯広三大まつりの一つ「菊まつり」に行ってきました。
その際、サ高住(サービス付き高齢者住宅)か老健施設から来られている人生の大先輩が、引率の職員の方に「菊なんて見たって分からないし、つまらない」「帰りたい」と仰っている場面に遭遇しました。
車が来る時間は決まっていて、一人だけ先に帰るとはいかないようで、職員の方が一生懸命フォローアップされていましたが。
帯広市内の各施設から皆さんお越しのようで、会場「とかちプラザ」の東口には、多くの施設からの車が発着していました。
上の写真のような作品であれば、私にも面白さは伝わりますが、こうした作品はごくごく少数派。
こういうのを見て「分からない」という気持ちの方が分かります。
しかし! いつ「格付けチェック」のような舞台に立たされ、菊のよしあしをジャッジする必要に迫られるか分からない身としてーー
いつ、サ高住(サービス付き高齢者住宅)か老健施設に入って集団行動が必要になるか分からない身としてーー
誰に取っても他人事ではありません!!
ということは、いざというときにステージメニュー頼みではなく、菊道を嗜んでおいた方がいいのでは? ーーという危機感を覚え、菊の見分け方を教わってきました!!
まず、一つの鉢に同色の3本の菊が一組で植えられている作品。
これは「天・地・人」を象徴するよう、3本それぞれの花の部分が程よいバランスで高低差があるのがいい作品なのでそうです!!
ですからこの部門では、手前の小ぶりの白と、大ぶりのピンクが金賞作品になっているとのこと。
そういう意味で、帯広菊まつり、開会式前に審査を終え、「金・銀・銅賞」作品には、タグに各色のシールが貼られていますので、比較しやすいです。。(それ以外の作品はオレンジのタグです。)
では、このような、単体の大ぶりの菊の場合の見方は?
中心が開いていないこと。
大ぶりであること。
葉が上から下まで、できれば均等の大きさでみずみずしいこと。
そうした部分を比較しても同等の作品は、1枚1枚の花びらの美しさも比較されるそうです。
「中心が開いた菊?」と思いますが、上から見て中心に空洞があるものは点数が低くなるとのこと。厳しい!!
細身の菊の場合の評価点は、中心が茶道の茶筅のようにまとまっていること。
花びらは立体的に、できるだけ均等に広がっていること。
そうした繊細さから、作り手の方々は会場に搬入してからも、花びらの形を整え直されたりしているのだそうです。
こちら今回の細身の菊部門で最高賞の、内閣総理大臣賞受賞作品です。
「天・地・人」の妙。
3本が揃って茶筅のようにまとまった中心部。
立体的にバランス良く放射状に広がった花びら。
上から下まで均等でみずみずしい葉。
ーー伝わりますでしょうか??
こちらは福助部門です。
縦の赤・白・黄色の3つの鉢で1セットです。
そういう種類とはいえ、1本ずつが草丈40センチ以下でなくてはなりません。
3鉢一組のうち一鉢でも40センチを越えてはいけませんし、中心が開いたら評価は下がります。
たくさん数をトライして、出展できたのはごく一部ーーと説明してくださった方は仰っていました。
何という求道心と、難易度の高さでしょう……!!
盆栽に至っては、曲がり具合と根のニュアンスが大事だそうで。
これはいい根っこだそうです。
花が全て、正面に顔を向けていたり、全て満開であるのがベストとのこと。
蕾が入っている方が侘び寂びっぽくていいのかと思いきや!! 意外でした。
ーーほんまや! 言われると、花が満開で、こっちに向いている!!
なるほど、そういうお話を伺うと、分かってきたような気がしました。
「珍しい金色の菊がある!」のに「受賞作品として手前に置かれていない」と思いきや、確かに少し、中心が空いているように見えます。
お感じいただけますでしょうか?
こちらが3本で1組の作品で、花も大ぶりで、葉も均等です。(後方と右の作品も、同じ方の作品です)
ではここで、「辻ちゃん炎上クイズ」レベル並の難易度の高い問題をお楽しみください。
こちらの菊は、いい花ぶりで中心が開いているわけでもいないのに、金・銀・銅賞ではなくオレンジ色のタグをつけられたままでした。どうしてでしょう?
正解は、「審査の時に虫がついていたから」ーーでした!!
そんな! 自然物なのに、虫がついたらダメなんですか!?
虫がついているということは、花の中にたくさんいるということで、減点対象なのだそうで……。
菊の道、奥が深すぎます。
一つの根から7つ花が開花している場合でも
バランスの妙、花の中心が開いていないかーー評価ポイントの基本は同様だそうです。
これであなたも、菊の見方マスターになれましたね!?
さて、菊まつりで懸念されるのは、菊に付された出展者のお名前から、各部門バラバラの方々が出展されているのではなく、同じ方々が重複して複数の作品作りに丹精込められていることです。
そうしたことから、担い手不足を感じずにはいられません。
そんな中、清川中のような取り組みを心強く思うのです。(生徒さんのお名前が写ってしまうので、受賞作品ごしの遠景です)
おびひろ菊まつりもあと2日。
「天・地・人の絶妙感」「いい枝ぶり」を感じにいかれてはいかがでしょう?