あれから約4ヶ月以上が過ぎたにもかかわらず「語らずにはおれん」と筆を執りました。
10月のフードバレーとかちマラソンで出会った「帯広 炎の男」師匠についてです。
(勝手に私淑しているだけで、弟子入りを許されたわけではありません)
私、「小児ぜんそく友の会」会員だったため、小さいころから走ることや運動に向いていない体質で(走ると発作を起こして入院するか、倒れて吸入コース)マラソンガチ勢の方から見ると不甲斐ないかもしれませんが、自分では背伸びをして最短の2.5kmコースにエントリーしていました。(大会直前の健康診断で喘息の再発を指摘されたため、この判断に助けられました)
この大会における私の目標は
・「普段車で通っている場所を歩く」を楽しむ!(銀座のホコテンなど周囲を見ながら歩くのが大好きです)
・完走者リストに乗る!
の2点でした。
そうなのです! フードバレーとかちマラソン2.5kmの部の時間制限は、歩いても間に合う設定だったのです!
順位を競うつもりはなかったのですが、さすが短期決戦2.5kmの部。
藤丸横のスタート地点を超えると、皆さん勢いよく走って行かれます。
普段は見られない景色を堪能しようと、歩く程度のペースを維持していると、シノカワビルをすぎたあたりで、もう殿(しんがり)を守ることになっていました。
そこで出会ったのが帯広「炎の男」師匠です。
(※写真は「撮っていいですか?」と許可をいただいた後に撮影したもので、出会った地点とは異なります)
「余命一年あれから五年 がんと闘う炎の男 本日七十八歳」
と背中で語る(?)「炎の男」師匠は、抗がん剤治療を終えたサバイバーで、マラソン歴も長く各地の大会に出場してきたけれど、膝を壊して2.5kmの部に出場されたとのことでした。
私にとってもとても丁度いい無理のないペースなので、炎の男師匠についていくことにしました。
伴走していると、さすが各地のマラソン大会のベテラン、仲間が多く存在を知られている炎の男師匠には、沿道から続々声援が送られていました。(しかも「○○さん、頑張って!」と本名呼びも含まれていました)
その声に悠然と応える炎の男師匠。
師匠の足元にも及びませんが「みさきさーん! 頑張ってー!!」と声をかけられ声援に応えるも、壊滅的なまでに人の顔と名前が覚えられない人間のため、「今のが誰だったか分からない……!!」と内心ものすごく狼狽えていました。(SNSで見てくださっていて、会ったことがない人も含まれていたことが後に分かりました。>ホッ)
一方、炎の男師匠は赤フンという出で立ちも目に入りやすく、沿道で応援していた人もOCTVの中継を見ていた人からも「炎の男さんは目に入った」「見つけやすかった」と私の周りでは評判でした。(必然的に私も見つかっていたわけで……)
そして、先にスタートして折り返してきた5kmの部出場者や、我々の後にスタートしたファミリーの部参加者など、他の参加者とすれ違うたび(知っている人知らないにかかわらず)声援を送る炎の男師匠。
その注目度といい、他の参加者どころかむしろ沿道の人々までも鼓舞し励ます所作といい、「まるで24時間テレビのようだ……!!」と思いました。
隣にいた私には、マラソン大会がまるで、炎の男師匠のステージのようにも見えたのです。
記録を追求するだけでなく、私のように「普段歩くことのできない特別な歩行者天国を歩きたい」というのでもなく、そういう楽しみ方もあるのだな、と知ることができました。
「上位を引き立たせるには、俺たちみたいな下位の人間も、大会を盛り上げる人間も必要なんだ」と走りながら語っていた炎の男師匠。
走るつもりは全くなかったのですが「最後のL字ストレートは沿道にたくさんの人が応援に来ているから、そこだけは走った方が見栄えがいい。ここはまだ余力をためておこう」とこのマラソン初心者に、力の貯め方や見せ方まで教えてくれました。
完歩が目標だったにもかかわらず、師匠がそう仰るからには、さすがにそこだけは走ってしまいました。完走者リストには載ることができましたが、完歩はならず!
そうして一緒にゴールした後、「来年もまた会おう!」と炎の男師匠は颯爽と去って行かれたのですが、お別れしてからあることに気づきました。
「膝を壊して2.5km」は今回だけのことなのか、近年のことなのか分からない、と……。
どなたか、2023年大会で炎の男師匠が出走予定の部をご存知の方がおられましたら、みさきまでご一報ください。(さすがにハーフマラソンは追随できませんが、5kmの部まででしたら頑張りたいと思います)
2022年は3年ぶりの開催だった、帯広市の「フードバレーとかちマラソン」。
北海道内では最後のハーフマラソン日本陸連公認コースとして(ハーフコースの人は、普段入ることのできない自衛隊帯広駐屯地内を駆け抜けることができます)、十勝・帯広のランナーだけでなく市外からも多数エントリーがある大会です。
帯広市内のあちこちで交通規制が敷かれるため、地域住民・関係各所の理解と協力があってできる大会でもあります。
より多くの、特に外からのランナーが参加するようになれば、それだけ宿泊・土産物需要など経済効果増が期待できるイベントでもあるため、今後も参加者が増えていくことを期待しています。
私も今まではマラソン大会に出場したことはなく、交通規制に気をつけながら運転するという、間接的な参加・協力者(?)でした。(大会当日、白樺通を越えたり市街地に用事が発生しそうな場合、なるべく事前に済ませておく。当日の通行止めルート・時間を調べておき、避ける。等)
もしスケジュールが合うのであれば、消極的・間接的な参加に留まらず、エントリーしたり、沿道に応援に行くなど、積極的に楽しむ方に回るのも良いのではないでしょうか?